澤田 清恵さん
カドル株式会社代表取締役(2022年現在)
私はいま、人事戦略のコンサルティングを柱とした事業を展開しています。企業にとって、社員は財産です。ブラック企業・ホワイト企業という言葉が市民権を得ているように、売上の向上だけでなく、社員の幸せも追求することが必要な時代。近年では、女性のキャリアへの価値観も大きく変わりました。活躍のステージが広がる反面、多岐にわたるキャリアをどう選択していくのか、悩む女性も増えています。だからこそ、私は「自分らしさ」こそ、これからの社会に必要な価値観だと感じています。
25年のキャリアのなかで、30,000人以上の方々と面接や対話を重ねてきました。そこで直感的に「あ、この人いいな」と感じる人は、一様に「自分の強みを理解している人」でした。言い換えれば、自らの人間性に基盤がある、ということです。知識でも、経験でも、資格でも、何か自分を支えてくれるものがある人は、それを指針に歩みを進めることができると感じます。
私にとっては、その基盤を整えてくれたのが、鎌倉女学院でした。先生方は、生徒を平均的に伸ばそうという姿勢ではなく、一人ひとりの生徒と向き合って、それぞれの強みを伸ばすように指導してくれました。褒めるのが上手だったので、自然と自己肯定感が醸成されていく感覚です。それが自信となり、基盤となって、この社会を生き抜く“しなやかな強さ”につながっていったのだと思います。
「何をしたいか?」。自分が何者か、何を大切にしたいかということを言語化できていないと、この不確実性の高い時代を生き抜くのは大変かもしれません。ですが、「私はこれが好きだから、この仕事がしたいんだ」「これが得意だから、こんな生活を送りたいんだ」というものが自分のなかにあれば、キャリアの選択にも自信が生まれます。鎌女の校訓は、「真摯沈着」。“どのような時代にあっても、しっかりした自己をもち、付和雷同することなく堅実に生きる女性であれ“という教えは、これからの女性を強く支えるものだと思います。